カメラ散歩で96歳の女性に出会った。毎日誰かが訪ねてくるというその女性は初対面の私にお茶とケーキをごちそうしてくれた。

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96歳、おばあさんの庭で

キクザキイチゲ
カメラ散歩で96歳の女性に出会った。毎日誰かが話に来てくれるから退屈しない、というその女性は、初対面の私にお茶とケーキをごちそうしてくれた。
「やりたいことは、やんなさい」と何度も言っていた。素敵な出会いだった。

夫の祖母と同い年。軍歌が流行歌だった青春時代。

ちょうど1か月前。街ではフキノトウに続き福寿草、クロッカスが咲きはじめていた。晴れて陽ざしが暖かい朝だった。

お地蔵様
カメラを買った翌日だった。私はいそいそと新しい相棒を片手にカメラ散歩に出た。他愛ないモノたちを撮影してブラブラと歩いていた。

クロッカス
家に戻る途中、たくさんの紫のクロッカスが咲いている庭を見つけて撮影していた。住人らしき人物の視線を感じて振り返ったらおばあさんが居た。勇気を出して「おはようございます」と挨拶した。

すると、おばあさんは「庭には別の花も咲いてるよ。撮るかい?」と言ってくれた。

スノードロップが咲いていた。旭川の両親の庭にもスノードロップがあるが今年は雪が多くてまだ見てないな、と思いながら、おばあさんのスノードロップを見る。
日当たりのよい場所で元気に咲いていた。
スノードロップ

大正11年生まれ。
あとで確認したら、夫の祖母と同い年だった。

若い頃よく歌った歌は軍歌、と言って、2曲ほど口ずさんでくれたけれど、まったく聞いたことがなかった。いまでいう高校生~大学生のころがちょうど第二次世界大戦中だったという。ちょっと想像しようとしたけれど、あまりに時代が遠すぎてクラクラしたので止めた。

おばあさんは「やりたことは、なんだってやんなさい」と何度も言った。その言葉を初対面の私になぜ言ったのか、時どき思い出して考え、そして考えるのを止めて行動する。

不思議な出会いだった。

いいかげん、キクザキイチゲの写真(1枚目の写真)をプリントして、「キクザキイチゲ」という花の名を添えて、届けに行かねば。